ほとんどのAIアシスタントは、こっそりと頷いてばかりいる。アイデアを投げかけると、即座に「素晴らしい」と返してくる。もう一度聞き直しても、言い回しを変えて同じように褒めてくるだけだ。これは質問に答えているのではなく、ゴマをすっているに過ぎない。NoFlatteryはそんな空気を打ち破ろうとしている。
そのやり方はとても直接的だ。ひとつのAIに同調させるよりも、立場の異なる複数のAIに互いに「言い争わせる」ほうを選ぶ。ユーザーは自分の状況を説明し、異なる視点を持つAIエージェントで構成された「AI議会」を選ぶと、自分の決断をめぐって繰り広げられる議論を見守ることになる。最終的には意思決定記録が出力され、裁定、理由、主要なリスク、次のアクションが含まれる。
ドメイン選びが教えてくれたこと
プロジェクトの作者が語る実体験がある。自分で「力強い響きだ」と思ったドメインを選び、ChatGPTとClaudeに尋ねたところ、どちらも「いいですね」と褒めてくれた。ところが、同じ質問をNoFlatteryの4つのエージェントに投げると、すぐに商標の衝突、検索意図との不一致、BBCとのSEOランキング争いといった問題を指摘された。ただひとつ、お世辞を言うだけのアシスタントしかいないと、こうした問題はなかなか表面化しない。
ここにこそNoFlatteryの価値がある。単一の答えを提示するのではなく、多様な視点を持つ顧問団をシミュレートするのだ。標準で4つのエージェントが組み込まれており、それぞれデータ、長期戦略、人間心理といった観点を重視する。カスタム視点の追加にも対応している。議論モードは5種類あり、さまざまなタイプの意思決定に向いている。さらに重要なのは、バックエンドで6つ以上のAIプロバイダーに対応しており、ユーザーは自由に切り替えられることだ。
3ステップで意思決定記録を手に入れる
- ステップ1:問題を貼り付ける。背景情報として画像やテキストファイルを添付することもできる。
- ステップ2:2〜3つ(無料版)または4つ(Pro版)のエージェントを選んで議会を構成する。
- ステップ3:リアルタイムの議論を読み、最終的にエクスポート可能なMarkdown形式の意思決定記録を生成する。
この流れは言葉で説明すると身軽に聞こえるが、実際に使ってみると、「自分はどうすべきか」という単一の視点から強制的に引き離され、「なぜ反対する人がいるのか」を理解するよう迫られることに気づくはずだ。こうした対抗的思考は、難しい決断を迫られる人にとって特に有益である。
ローカルファースト&持ち込みAPIキー:プライバシーは付随機能ではない
NoFlatteryが採用しているのはローカルファーストのアーキテクチャだ。チャット履歴もAPIキーもブラウザ内に留まり、彼らのサーバーにアップロードされることはない。つまり、自分のAPIキーを持参しないと使えないということだ。これは面倒に聞こえるかもしれないが、データプライバシーを重視する個人開発者や小規模チームにとっては、むしろ潔い選択といえる。
価格については、最初の議会は無料で、以降はサブスクリプションではなく買い切りとなる。SaaSがひしめく市場にあって、このモデルは一種の清流だといえる。毎月口座から引き落とされる心配がなく、重大な決断をたまに行うユーザーにうってつけである。
どんな人に向いているのか?
キャリアチェンジ、製品の方向性、価格戦略など、標準的な答えがない問題に直面しているなら、NoFlatteryは意思決定の死角をあぶり出してくれる。一方で、「今日のお昼は何を食べるか」といった些細な問いや、事実を検索する必要がある質問にはあまり向いていない。このツールの強みは、あくまで比較考量と判断にある。
もちろん、このツールにも限界はある。APIキーを自分で設定する必要があるため、追加のコストと管理の手間がかかる。複数のエージェントが応答するため、待ち時間も長くなる。手っ取り早く簡単な答えを求める人にとっては、いささか牛刀をもって鶏を割くようなものかもしれない。
しかし、数分間時間を取ってAI同士の議論を見てみる価値はある。それがもたらす全体像は、お世辞たっぷりのアドバイスひとつよりずっと価値があるかもしれない。











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