いま、韓国で病院を探す患者の行動が変わりつつある。検索窓に「〇〇 歯科」と打ち込む代わりに、ChatGPTに「江南でインプラントが評判の病院は?」と聞く。そんな流れはまだ中国では多くないが、韓国ではすでにビジネスになっている。その象徴的なサービスのひとつが、今回取り上げるBoilyだ。
Boilyは、韓国の病院向けにAI検索での発見可能性(GEO/AEO)を測定・改善するサービス。2週間ごとにChatGPT、Claude、Gemini、Perplexityの4つのAIに対して、指定した病院がどの程度“推薦”されるかを測る。測定は中立、最適化は任意、順位は保証しない——Boily自身がこう明言しているのが特徴だ。
GEOとはGenerative Engine Optimizationの略。生成AIの回答であなたの病院が自然に挙がってくるようにする施策だ。いわばSEOの進化版だが、実際の推奨ロジックは従来の検索とはまるで違う。
AIが指名する病院は、ごく一部だ
従来のSEOは、公式サイトの権威性やキーワード、広告で勝負してきた。だが大規模言語モデルの推薦は、学習データやWeb全体の文脈から総合的に「答え」をひねり出す。その結果、AIの回答に名前が出るのは2〜3件だけ。あとの病院は、ホームページがどんなに美しくても、存在しないものとして扱われる。
Boilyの公式サイトではこうした例が紹介されている。「江南 インプラント」「東灘 小児科」という質問を4つのAIに投げたとき、あなたの病院は何回登場するか。競合は何回か。Boilyはそれを数字にして見せてくれる。
Boilyが測るのは「知られているか」だ
- 主要クエリでの露出割合 — 10回聞いて2回推薦されれば20%というように計算
- 競合比較 — 同じ質問でライバル院が何回名前を挙げられたか
- AIエンジン別の詳細 — ChatGPT、Claude、Gemini、Perplexityそれぞれの傾向と推移
- 観察ノート — 単なる数値の羅列ではなく、差異から読み取れるヒントを整理
サンプルレポートでは、同一の病院でもAIによって結果が大きく違う。ChatGPTでは70%、Claudeでは80%、Geminiでは30%といった具合だ。ただしこれはあくまでサンプルであり、実際の数字は病院や時期によって変わる。
「見た目は変えず、AIに読ませる」という最適化
Boilyは測定だけの会社ではない。AIにまったく出てこない病院には、最適化作業も請け負う。手法はユニークだ。既存サイトを「クローン」し、ビジュアル、写真、レイアウトは完全に維持。そのうえで内部の診療科目、医師チーム、手術説明、FAQをすべてテキスト化し、構造化データを加えてGoogle、Bing、Naverのインデックスに再登録する。
つまり、患者の見た目はほとんど変わらない。それでいてAIが読める構造に変えてしまう。ホームページを1から作り直すのはコストもリスクも大きい。この「中のテキストを書き換えるだけ」というアプローチは、現実的な解だ。公式も「非公開・小規模な観察に基づく知見」と控えめに言うが、読み手としては非常に納得感がある。
順位保証はしない。それでも信頼できる理由
BoilyのFAQには「1位を保証する、露出を保証する」といった文言は一切ない。まず現状を測り、必要なら最適化し、同じ測定方法で効果を検証する。この誠実なスタイルは、韓国の医療広告法に抵触しないという利点もある。
プロセスも軽量だ。Kakaoアカウントでログインし、病院情報とキーワードを登録。振込を確認すると初回測定が始まり、以後2週間ごとにレポートが届く。最適化はオプションで、範囲は契約時に院長と直接話し合って決める。
ただし、Boilyは現在韓国の病院のみを対象にしている。価格も公開されていず、問い合わせが必要。海外の読者には「AI検索時代の病院向けモニタリングツール」として理解しておけば十分だろう。
医療業界の集患が大規模言語モデルによって書き換えられようとしている。不安になる前に、まず現状を測るための“ものさし”を手に入れるのは悪くない考えだ。Boilyはそのものさしを渡し、必要なら測定後の作業まで引き受けてくれる。それだけで十分、試す価値はある。











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